虫たちが集まる森の奥にある小さなホテル「むしホテル」。 心優しい蛍の仲良し夫婦ライとレイが経営する立派な切り株のホテルです。 それぞれの虫の嗜好にあわせて演出された異なる10部屋と川を見ながら入る露天風呂や星見台がついている素敵なホテルに、続々と虫たちがやってきます。
常連のカの親子、カブトムシの夫婦、バッタやダンゴムシの大家族、ハサミムシのカップルや一人旅で相室になったにおいのきついカメムシとてんとうむしや突然、予約無しでやってきたシャクトリムシ。むしホテルの従業員は、キッチンで働くカマキリシェフに青虫の見習いシェフ、荷物を運ぶポーターのミツバチたちなどとにかくユニークで愉快な虫の仲間たちがたくさん登場します。
そんな大賑わいのホテルに、外国からやってきたフンコロガシの登場でホテルは満室。 フンコロガシの大きな荷物(フン)をミツバチたちが屋上から運ぼうとした時にその事件が起きました!衝撃音と停電に驚きあわてふためく滞在中の虫たち。 一体虫ホテルに何が起きたの?虫たちは大丈夫?虫ホテルの運命やいかに?!
ホテルを舞台にあたたかくユーモアたっぷりに虫たちの交流を描いたのは、きねかわ いつかさんと近藤薫美子さんのコンビ。絵本のみどころはたくさんあるのですが、何といっても切り株のホテルが断面図になっているところ!朝、昼、夕方、夜と時間の経過にあわせてそれぞれのお部屋でいろいろな虫たちがいろいろな行動をしているのがわかります。誰もいないお部屋においてある身だしなみのグッズや飲んでいるジュース、お部屋の造りからどの虫がどの部屋に泊まっているのかあてっこするのも面白いかも。ページをめくると、それぞれの虫たちのお話も同時進行で展開していくので、ページの隅々まで楽しめます。大きなハプニングから小さなハプニングまでいろいろなことが起きますよ。どんな状況でも決して深刻に落ち込まず、明るく楽しく笑顔でお互いを励ましあいながら協力している虫たちの姿に読んでるこちらも笑顔になります。 カの親子が連れてきた赤ちゃん卵が滞在中に孵化する様子も驚きなのですが、個人的にはキッチンでつまみ食いばかりしていた青虫くんがどうなった注目してほしいです(笑)。読むたびに小さな発見、大きな発見が見つかる楽しい絵本です。 巻末にシャクトリムシくんの仕事もわかるので、是非読んでみてくださいね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
ここは、森の中のホテル。きりかぶホテルに虫たちが泊りにやってきました。そこへあまりに大きなフンコロガシのフンが、ホテルをこわしてしまいます。虫たちは、もう一度ホテルを再建しようとがんばります。暗闇の中で生まれる生命が、災難をのりこえる力となってよみがえるホテル。人間だけではなく、虫たちも同じように生活しているのだと感じさせてくれる一冊です。
絵をじ〜っくり眺めて、ゆっくりと楽しんでいました。
しゃくとりムシとかまきりシェフのいるキッチン、ホテルに宿泊しているフンコロガシにカメムシ・てんとう虫。むしホテルで広がるそれぞれの虫の会話からたくさんのストーリーが広がる感じ。
わいわいごちゃごちゃしていて、ふふっと笑う場面がたくさんあり、子どもがじっくりと眺めて楽しみたい気持ちがよく分かりました。 (みっとーさん 30代・ママ 男の子6歳、女の子5歳)
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