世界には驚くほど美しい色鮮やかな魅惑的な蝶がいる。 飛んでいる、儚くもしなやかな妖精たちが身に纏う、その衣の斬新な色彩と繊細な造形美。
写真家今森光彦さんは、夢にまで見た図鑑の蝶の生きている姿を追い求め、南米のジャングル奥地をはじめ世界中の様々な土地へ赴きます。それぞれの蝶との出会いには語りつくせぬほど思い出話があるに違いありません。 これまで遭遇してきた蝶たちの中でもとびきりのお気に入りが、この図鑑の見開き1ページ分の大きな姿でお目見えするのだからなんとも贅沢で圧巻なつくりです。そこには図鑑だけでは感じ取ることのできない自然の中で飛んでいる蝶を連想させる空気の質感や太陽の強烈な光さえも映し出しています。
本を開けば、そこは蝶の楽園。 ジャングルの宝石とも呼ばれる赤、青、ムラサキの色彩が目を楽しませてくれるアグアリアスのなかまから、夜空を封じ込めたような輝きを放つツマムラサキマダラ、ニューギニアの高地に分布する紫、青、緑の透明な三色をちりばめた工芸品のようなミイロタイマイ、黄色の部分がみる角度によってうす緑色に光る真珠の妖精ブルキシタアゲハ、燃える太陽の色をしたヒイロツマベニチョウ、氷河期の生き残りと言われる白い微毛の毛皮をきているようなアポロウスバシロチョウ、青い鏡とも呼ばれる青く金属光沢の羽を持つディディウスモルフォや、バニラの香りがするライムグリーンとレモンイエローがまぶしいゴクラクトリバネアゲハ。 そして、羽のウラに数字の模様を持つ蝶やフクロウの目をもつ蝶など日本ではなかなかお目にかかれない類まれな世界の蝶たちが本の中で出会いを待っているのです。
煌びやかな宝石のごとく宙を舞う美しい蝶たちを原寸大サイズで収めた「世界のチョウ」図鑑。 「世界のクワガタムシ」「世界のカブトムシ」「世界のふしぎな虫おもしろい虫」のシリーズに続く、自然の産物である美しい生きている芸術(アート)、蝶に魅せられた写真家今森光彦さんが贈る宝物のような本です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
瞬きをこらえて、矢のような軌跡を目で追っていると、その黒い影は日の光をあび、一瞬、サファイアのように輝いた…。生命の不思議、チョウたちの美術館。実物大写真256点を収録した、チョウ図鑑の決定版。
|