ドキッとする表紙に内股で立ちすくむのは、 この物語の主人公「うしのガイコツまおう」。
そう、彼は牛の骸骨の魔王。 なんとも暗黒世界の帝王のような凄みのある外見なのに、最近いつもため息ばかり。 なにやら大きな悩みをかかえているようです。
「いったい、じぶんは なにものなんだろう〜」
えっー?! 魔王ともあろう者の口からそんな言葉がこぼれるとは・・・。 牛で、骸骨で、しかも魔王であるが故にどれも中途半端に思えて、自分自身の存在がわからなくなってしまったというのです。 そこへ、旅の途中、道に迷った白ねこがやってきます。 「うしか、ガイコツか、まおうか、どれかひとつにきめたらどうかな」と白ねこ。 その提案が気に入った「うしのガイコツまおう」は、自分が何者か知るために、牛として過ごしたり、ガイコツと交流してみたり、恐ろしい魔王に魔法を教わったりと1日体験を実施してみます。 しかし、どれも気に入ってどれも嫌なところを見つけてしまうのです。そんな時、ずっと身近で見守ってくれていた白ねこの身に危険が!
「うしのガイコツまおう」は、どうしたのでしょう。 そして、自分が何者か答えを見つけることができたのでしょうか。
作者は、『アリゲイタばあさんはがんこもの』(小学館)や『ひかりうりのぴかこさん』(佼成出版社)の松山円香さん。今回の絵本では、既刊の二作品とは異なる新たな魅力が引き出されています。 美しく繊細でありながら、迫力のある松山円香さんの絵の世界。ある時はとてもお茶目に、ある時は荒々しく情熱的な「うしのガイコツまおう」。表情がないようでいて、驚くほど生き生きと魅力的で可愛らしいのです。かけがえのない友だちとなる白ねことの時間がとても愛おしく描かれています。子どもに「考える」きっかけを与えてくれる、哲学的な要素の入った本作。親子で一緒に読むことをおすすめしたい! 答えは、自分ひとりで考えるより、誰かと一緒に考えることが大切なのかもしれないと教えてくれる、心が温まる絵本です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
悩めるうしのガイコツまおうの物語『アリゲイタばあさんはがんこもの』で絵本デビューした絵本作家松山円香さんの待望の新作。主人公は、うしであり、ガイコツであり、まおうの“うしのガイコツまおう”。うしでも、ガイコツでも、まおうでもある“うしのガイコツまおう”は、自分が何者なのかはっきりしなくて、毎日ためいきばかりついていました。そんなある日、白ねこがやってきて「きみは、なに?」とききました。まおうが、自分の悩みを伝えると、ねこは、「だったら、どれか一つに決めたらどうかな」と提案しました。「それはいい考えだ!」とまおうは、まず、うしになることにしました。まおうは、結局、何者だったのでしょうか?
Instagramで紹介されている方がいて、表紙もタイトルもツボだったので図書館で拝借してきました。子供たちは、最初から怖い魔王の話?と思っていたのが、自分探しをする魔王の姿に見入っていました。最後は友達がいてくれることで、何者でもない自分を受け止めることができた魔王に拍手を送りたくなりました。 (ままmamaママさん 40代・ママ 女の子10歳、女の子6歳、男の子4歳、女の子2歳)
|