きゃあ! 女子みたいな悲鳴をあげたぼく。
おだやかな日曜日、家にはぼくひとり。 なにをしたって怒られない、自由時間がはじまるはずだったのに・・・、 まさか、こんなにおそろしいものと出くわすなんて。
やつだ。やつが出たんだ。
ぼくの天敵、カマキリが!
今、家にはぼくひとりしかいない。 ぼくの手で、こいつを追い出すしかないんだ。 今、カマキリとぼくとの戦いの火蓋が、切って落とされる!
虫が嫌い、特にカマキリが大嫌いな主人公の「ぼく」。 嫌いであるがゆえに目が離せない! 見失ったらどうしよう? 家に住み着いて、子どもを生んじゃうかもしれない。 息をすることも忘れて、じっ、とカマキリとにらみあう。 そんな「ぼく」には、カマキリが体を起こしただけだって、大事件!! ぎゃあ! 大変だ! 飛び立つかもしれないぞ!!
事細かに描かれるカマキリの様子と、虫嫌いのリアルな心理描写が生み出す、一瞬も気が抜けないこのハラハラ! ガラス一枚隔てたところから事態を見守っているかのような臨場感が、「家にカマキリが出た」というだけの事件を、まさに、手に汗握る大冒険に仕立て上げています。
同じく大の虫嫌いである私は、なんとしても相手から目を離してはいけいないという恐怖や、ちょっとした動作にびくびくと怯える様に、深い共感を覚えずにはいられませんでした。 まさしく「虫嫌いあるある」!
「ぼく」は無事、カマキリを追い出すことができるのでしょうか? やがて、戦いを通じて少しずつ、「ぼく」の心も変化してーー
一度ページをめくったら、一瞬の隙もなく最後まで楽しませてくれる、最高の大冒険がここにあります!
(堀井拓馬 小説家)
ピンチは突然やってきた。 誰もいない日曜日、家のなかでカマキリに出合ってしまったぼくは……。 ちょっと臆病な男の子の心のゆれと小さな勇気を克明につづります。「もしもおそってきたら……」の描写もユーモラス。 第32回日産童話と絵本のグランプリ童話の部大賞作品です。
このお話は、男の子がひとりで家にいる時に苦手なカマキリと遭遇するお話でした!!いつもはほかの家族に助けを求めているのですが、ほかの家族がいないので、葛藤しながらもカマキリと対峙する様子がうちの子には面白かったみたいです。最後にはカマキリを外に逃がすことができたのですが、その時に読んでいる方はなんだかすがすがしい気持ちになって来てすっきりしました。 (イカリサンカクさん 30代・ママ 男の子9歳)
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