南米アルゼンチンの奥地、ミシオネス州のジャングルを舞台にした童話集です。ハナグマ、カピバラ、コアリクイ、オオアルマジロ、コロコロ、ドラドなど南米原産の野生動物が、楽しくにぎやかに登場します。またシカやオウム、ミツバチ、ワニなど誰もがよく知る動物たちも主役として活躍します。
この童話集では、人間と野生動物の関係がたくさん描かれています。エイの群れが怪我(けが)を負った人間の男の命を助けるため、全力でヒョウと戦ったり、野生のオウムが人間の家族と暮すようになり午後のお茶を日課にしたり、猟師に助けられたシカの子が、その男の生涯の友となったり。また一方で、ワニの集団が人間たちと川の主権をめぐって戦争をくり広げたりもします。
各お話にはミヤギユカリによるたくさんのドローイングが添えられ、ストーリーの進行をぐんぐん盛り立てます。またすべてのお話の最後に、日本語版制作者のアイディアによる4コマ漫画(まんが)が入っています。ミヤギユカリの水彩画4コマで、1918年に書かれた童話を、今の時代に照らして考えるヒントになれば、と作られたおまけページです。読みやすく美しい本のデザインは、⻆谷慶(S u -)が担当。絵とデザインの楽しさを味わいながら物語の世界に浸ることのできる、子どもも大人も楽しめる童話集になっています。
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