既成の平安朝文学像を一新 「書かれた物語」というパラドックスに肉薄… エクリチュール一本で物語文学史を踏破する。 日本古典文学の原点である平安朝物語文学をどのように捉えればよいのか。物語があくまで口承性を標榜しているにもかかわらず、自らが「書かれた物語」として生成されているという現実を前にして、物語自身がどのような批評的スタンスをとっているのか。本書では、「物語の出で来はじめの祖」たる『竹取物語』を範としつつ、『源氏物語』から『狭衣物語』へと至る物語文学史の系譜において、このパラドックスの変容過程を解明する。
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