夏の終わり。辰五郎は、酒問屋の滝三郎と飲み交わしていた。 滝三郎は若い頃、「観音組」という徒党を組み、辰五郎に世話になっていた。 昔を懐かしみながら、彼は相談を持ちかける。 彼の母を殺して島流しの刑にあった石助が、赦されて江戸に戻り、 行脚僧に身をやつして、滝三郎の周辺に出没しているといい、その動向を探ってくれと頼んできた。 一方、岡っ引きとしての自信もついてきた息子の辰吉は、通油町を頼りなげに彷徨している娘を見つける。 娘は自分の名前も思い出せない記憶喪失となっていた。身寄りのない彼女を助けようと辰吉は奔走するが……。 試される親子の絆と愛。人気シリーズの第四弾!
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