青と黄色のまるの形が生きているように動きまわり、やがて物語を見出し、読む者の感情が揺さぶられていく。発売から50年以上経った今も、子どもから大人まで年齢に関係なく、世界中で愛され続けるレオ・レオ―二の傑作絵本『あおくんときいろちゃん』。装丁も新たに、ボードブックとして登場しました。
絵本の内容も文章もそのままに、でも小さなサイズとなったボードブック版。ところがその佇まいは、ずっと前からあったかのように自然です。そのまま机に立てられる程の厚みがありながら、決して重すぎず。コーティングがかけられ、更に鮮やかに輝く色彩も、違和感ないまま明るく目に飛び込んできます。
デザインは、グラフィックデザイナーの佐藤卓さん。やはりグラフィックデザイナーだったレオ・レオ―二が、絵本作家となるきっかけとなったこの作品。手がけられるにあたって、かなりの試行錯誤を繰り返されたのだそう。角の丸み、開きやすさ、書体、大きさ。小さな子でも楽しめるような工夫が施されながら、大人がコレクションしたくなる完成度。
「どんな人でも楽しめるように」
この絵本に関わった全ての人たちの声が聞こえるようです。クラシック版と合わせて、改めて欲しくなるこの1冊。ギフトとしても、ずっと大活躍してくれそうですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
"絵の具で描かれた青や黄色のシンプルな丸が生き生きと動きまわり、絵本ならではの夢と感動をもたらすロングセラー絵本を、グラフィックデザイナー・佐藤卓氏が装丁したボードブック版。 小さなお子さんからおとなまで、すべての人に優しいファミリーブック。
作者が孫のために作ったという人間愛あふれる絵本。 この絵本の作者レオ・レオーニは長年アメリカで、もっとも活躍した芸術家の一人です。その多彩な創造力は絵画、グラフィック・アート、デザインの各分野で示されています。 1910年アムステルダムに生れ、29才でアメリカに渡り、ニューヨークで創作のかたわらすぐれたアート・ディレクターとして多くの仕事をし、賞も受けています。
こどもの本に初めて抽象表現を取り入れた作品として、歴史に残る名作といわれるこの絵本は、レオーニが孫たちにお話をせがまれた時、ぐうぜん生れたものです。手近の紙に色をつけて次つぎに登場人物を創りだしながら、孫たちもレオーニ自身も夢中だったといいます。 アメリカでは、この絵本の、青と黄とが重なってまったく違った緑になるというテーマが、人と人の心の融和を暗示するものとして、おとなたちの間でも好評を博しています。 世界中からさまざまな人種が集い暮らし、個々の価値観も多様化するこの日本でも、通じるところの多い人間愛に溢れたテーマを、絵本ならではのファンタジーで幼児にも大人にもシンプルに深く伝えてくれる作品です。
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