ニンゲンについて知りたくて仕方のない小さな「スズメ」のはなこ、まったく音を立てずに飛ぶことができる真面目な「メンフクロウ」のしろさん、ぽっかりぬまの近くに引っ越してきたばかりの「ヤマシギ」のやまさん。この愛らしく個性的なとりが主人公となる、お話三つ。
スズメのはなこの頭の中は「なんで?」「どうして?」でいっぱい。特にお母さんの言う「ニンゲンにちかづいたら、あぶない」「ニンゲンは、おそろしいいきものだから」という言葉は、半分はなんとなくわかるけど、半分は自分で確かめたいと思っているのです。そんなある日、はなこがニンゲンの家の中をながめていると……?
さらに続く、しろさんとやまさんのお話。それぞれが違う場所で起きている、ほんのささいな、でも不思議と心に残るエピソード。それははなこが出会ったニンゲンの女の子「はなちゃん」の描いた一枚の絵を通して、少しずつつながっていくのです。
おくはらゆめさんの新作童話は、小学校1年生の子にもじゅうぶんに楽しめる鳥の短編集。どのページにも、魅力的なカラーの絵がたっぷり。何度も読みたくなる、味わい深い1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
おくはらゆめさんによる鳥の短編集です。「集」といっても小学1年生にもじゅうぶん楽しめるように、3話収録となっています。小さなはなこが主人公の「スズメのはなし」、まじめなしろさんが主人公の「メンフクロウのはなし」、やまさんと意外な友だちが主人公の「ヤマシギのはなし」。それぞれ、短い物語ならではのおもしろさがキラリと光ります。朝の読書の時間にもおすすめしたくなる、読みやすい1冊です。
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