地元でオンライン開催された、小さな研修会に参加したときのことです。20代の、これから理科教育をがんばっていきたいという先生が切り出した次の言葉が、この物語のはじまりです。
「どんなことがきかっけで、いまのような指導観をもつようになったのですか?」
この20代の先生は、先輩たちが大切にしていることなどを自分もやってみようと思っていたようです。しかし、そう尋ねられた先輩たちは、「はい、これがきっかけです」などと、即座に答えられません。私(鳴川)だってそうです。
しかし、研修会に参加していた先生方は、20代の先生の問いに触発されて「自分自身は、どのような指導観をもっているのだろうか」「自分たちの先輩方は、どのような指導観をもっているのだろうか」と、自らも問いはじめたのです。私もその一人です。 「いまの時代の理科教育を牽引されてきた全国の先生方は、どのような経験をきっかけに、どのようなことを大切にした実践を行い、ご自分の指導観を築きあげてきたのだろうか?」と。
理科の学びで見せる子どもの姿を語り合う先生方からは、「理科大好き」という香りが漂ってきます。そのような香りを醸し出す先生方を、私は密かに「Science Fragrancer」と呼んでいました。本書に登場する「いまの時代の理科教育を牽引されてきた先生方」もみな、Science Fragrancerです。
@「理科の授業」に関して、どのような経験があって Aその経験を通して、「理科の授業」について、どのような「観」をもち Bその「観」を踏まえて、どのような「理科の授業」をするようになったのか
24名のScience Fragrancerが物語るエピソード(贈りもの)をきっかけとして、読者のみなさんにとって大切な何かがきっと見つかるはずです。
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