[日本のシェイクスピア」と讃えられ、今も再演がたえない近松門左衛門──その正体は「週刊文春」のエース記者だった!? 近松門左衛門の作品は、今なお、映画、TVドラマ、歌舞伎、文楽、宝塚で繰り返し上演されている。「チカマツ」の何が大衆をこんなにも惹きつけるのだろう? 実は、近松の姿は、今の週刊誌記者に非常に近かったのだ。心中事件があったと聞けば、駕籠で現場にかけつける。菰の下からのぞく女の死体の白い足に衝撃を受け、とってかえして一気に書き上げ、すぐに舞台にかける──。 一方、時を経て、近松作品は大幅に潤色されている。現代劇や映像はもちろん歌舞伎、文楽とて例外ではない。300年経っても色褪せない俗の面白さは、原作を読めばますますリアルに伝わってくる。 何よりこんなに面白い「チカマツ」を神棚に飾ったままではもったいない! そこで、近松作品の中でも人気が高い『曽根崎心中』と『女殺油地獄』を読みやすい現代語訳でお届けする。近松研究の第一人者である早稲田大学名誉教授・鳥越文蔵博士の監修で伝統芸能に詳しい小野幸恵が現代語訳を担当。 解説では、文楽の桐竹勘十郎、吉田玉男という当代きっての人気人形遣いと、美しい徳兵衛を演じて話題になった歌舞伎の市川染五郎のインタビューも交え、近松に魅力に迫る。 人形遣いだけが知る「お初が透明になる瞬間」とは? 文楽・歌舞伎の楽しみ方、見どころから原作誕生の背景までこの一冊で近松の全てがわかる。 週刊誌の見出し風に言えば、 『曽根崎心中』=気の弱い「かわいい男」はなぜモテる?「暴走する純愛の結末」 『女殺油地獄』=キレる若者は江戸時代にもいた!「元禄版・人妻衝動殺人」 江戸の時代にも、現代にも、こんな若者いるわいなぁ、と身につまされます。 近松の真骨頂である「俗」と「聖」の極致をご堪能ください。
|