エルヴィス、ボブ・ディラン、ビートルズ…… 信仰は、あの名曲に何をもたらしたか。
「ロック」と聞けば、それがジャンルとして確立されてきた当時から「若者たちの音楽であり、反体制的で権力に反抗するもの」だというイメージが強かった。 そうした権力のなかには、西欧社会で力をふるってきたキリスト教も含まれる。そのため、キリスト教文化になじみのない日本人からすればキリスト教的精神とロックは相いれないものだと考えるだろう。 しかし、エルヴィス・プレスリーやボブ・ディランをはじめ、アメリカにおける多くのロックミュージシャンが、自らの楽曲のなかで「神」「イエス・キリスト」「マリア」を讃えていたり、あるいは祈りを捧げたりしている。 むしろその西欧社会におけるキリスト教とロックのかかわりを紐解くと、キリスト教がなければ、ロックは生まれてこなかったのではないかという見方さえもできる。 信仰を持つことによって、あるいは信仰を否定することによって、彼らの音楽はどう変化し、それはロックというジャンル全体にどう影響していったのか。宗教学者がその関係をひもとく。
■信仰深いエルヴィスが本当に歌いたかったもの ■現代の「ヨブ記」だった「ユー・ゲイブ・ミー・ア・マウンテン」 ■「歌うこと」で身近になる神 ■「僕らはいまやイエスよりも人気がある」 ■「イマジン」の根底に潜む宗教への思い ■クラプトンの回心体験
【目次】 第一章 エルヴィス・プレスリーは、なぜゴスペルを歌ったのか 第二章 ロックはゴスペルからはじまった 第三章 ボブ・ディランは、なぜキリスト教に改宗したのか 第四章 ジョン・レノンは、なぜ神を信じなかったのか 第五章 ロックがキリスト化する必然性
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