そして、<東京化>する日本の大衆音楽=<シティ・ポップ>が誕生した――。 バブル経済前夜、1984年は日本の歌謡曲においても大きな転回点だった。70年代から始まった「歌謡曲とニューミュージックの対立」は、「歌謡曲とニューミュージックの融合」に置き換えられた。同時に、「シティ・ポップ」=「東京人による、東京を舞台とした、東京人のための音楽」が誕生。それは都会的で、大人っぽく、カラカラに乾いたキャッチコピー的歌詞と、複雑なアレンジとコードを駆使した音楽であり、逆に言えば、「田舎」と「ヤンキー」を仮想敵とした音楽でもあった。1984年、それは日本の大衆音楽が最も洗練されていた時代――。
◎本書で取り上げた1984年の歌謡曲 安全地帯『ワインレッドの心』 アルフィー『星空のディスタンス』 チェッカーズ『涙のリクエスト』 杉山清貴&オメガトライブ『君のハートはマリンブルー』 吉川晃司『モニカ』 小林麻美『雨音はショパンの調べ』 岡田有希子『ファースト・デイト』 石川優子とチャゲ『ふたりの愛ランド』 オフコース『君が、嘘を、ついた』 原田知世『愛情物語』 チェッカーズ『哀しくてジェラシー』 薬師丸ひろ子『メイン・テーマ』 高橋真梨子『桃色吐息』 小泉今日子『迷宮のアンドローラ』 一世風靡セピア『前略、道の上より』 サザンオールスターズ『ミス・ブランニュー・デイ』 SALLY『バージンブルー』 中森明菜『十戒(1984)』 松田聖子『ピンクのモーツァルト』 チェッカーズ『星屑のステージ』 小泉今日子『ヤマトナデシコ七変化』 大沢誉志幸『そして僕は途方に暮れる』 アン・ルイス『六本木心中』 薬師丸ひろ子『Woman“Wの悲劇"より』 井上陽水『いっそセレナーデ』 安全地帯『恋の予感』 中森明菜『飾りじゃないのよ涙は』 チェッカーズ『ジュリアに傷心(ハートブレイク)』 小泉今日子『スターダスト・メモリー』……etc
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