中島敦はいかに「植民地」と向き合ったのか 南洋群島や朝鮮に赴き、現地を舞台に小説を書いた中島は、社会や他者との相克を、歴史を、どう捉えていたのか。〈外地〉での足跡と作品を丹念に分析し、西洋思想の視座を取り入れることで、新たな作家像を描き出す意欲作。
○目次 図版・画像リスト 序章 主旨と構成
第一章 南洋日本文学の戦後表象――「環礁」観を視座として 第二章 〈物〉と〈名〉の二分法――「虎狩」という分水嶺 第三章 他性、記憶と忘却――「木乃伊」との邂逅 第四章 他者とのロールチェンジ――「ナポレオン」、帝国の境界までの旅 第五章 島民像と他者依存の自己規定――「夾竹桃の家の女」 第六章 他者の服――「マリヤン」という鏡 第七章 「私」の中の「寂しい島」――寂しさと運命観 補遺 「古譚」――「狐憑」・「木乃伊」の構想期再考 結章
南洋群島滞在期の年譜 あとがき 引用文献/絵・彫刻関係/参考文献 初出一覧 索引
|