日本図書館協会資料保存委員会委員長であり,東京都立中央図書館で長年資料保存の仕事に携わってきた著者は,全国各地で資料保存・修理の研修会講師を務めてきました。本書はそうした研修会で語った内容をまとめた「講義録」です。 「第1講 図書館における資料保存とは」では,利用のための資料保存として5つの方策を具体的に説明し,「第2講 図書館資料の修理とは」では,修理の基本的考え方,製本の工夫や紙の性質,修理の道具などを豊富な写真や図版で紹介しています。素材の性質を熟知した「優しい修理」で資料を長く「利用」できるようにして,未来の利用者に届ける…コンパクトな実践の書でありつつ,資料保存の真の意義を確認できる好著です。
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