日本語教育の会話指導において「いつ」「何を」「どのように」教えるかについて、自分自身で納得できる基準を持とう。実際の学習者の会話データを分析し、主体的・積極的に会話を進めたり、話の流れにのるための知識や技術を考える。
■「まえがき」より 第二言語(外国語)として日本語を学んでいる、あるいは、学ぼうとしている人に「何を学びたいか」を尋ねると、日本語レベルを問わず、「会話を学びたい」「話せるようになりたい」と答えるケースは、多いように感じる。それは、日本語学習者が、日常生活において、うまく話せなくて失敗した経験を持っていたり、もっと話せたら活動範囲が広がるのにという思いを抱いていたりすることの証拠ではないだろうか。このような学習者の期待がある中、日本語教師の中には、会話教育に苦手意識を持っている人も少なくない。たしかに、市販の会話教科書も複数あり、一定のトレーニングを受ければそこに書かれている通りに教えることはできる。しかし、それでも教師が不安を感じてしまうのは、会話教育において「いつ」「何を」「どのように」教えるかについて、自分自身で納得できる基準、つまり「軸」を持てないことにあるのではないかと考える。本書が目指すのは、この「軸」の形成である。
■執筆者紹介 蜩c直美(一橋大学国際教育交流センター准教授) 澤田浩子(筑波大学人文社会系准教授) 俵山雄司(名古屋大学国際本部国際言語センター准教授) 宮永愛子(山口大学留学生センター准教授) 石黒 圭(国立国語研究所教授、一橋大学連携教授) 永井涼子(山口大学国際総合科学部准教授) 堤 良一(岡山大学学術研究院社会文化科学学域准教授) 山内博之(実践女子大学文学部教授)
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