いくら愛しても、愛されない。 でも、すべてはおなかの子のため……。
「提案を受け入れたくなったのだろうが、その件はもう締め切ったよ」 大富豪レアンドロのオフィスを訪ねたセリアに、彼は冷たく告げた。 3週間前、愛を信じない彼にベッドだけの関係を続けようと提案された。 駆け落ちしたレアンドロの婚約者とセリアの兄を二人で捜す間に、 互いに惹かれて分かち合った情熱の時はたしかにすばらしかった。 でもセリアは自分だけ夢中になることを恐れて彼の提案を断っていた。 レアンドロとの関係を続けていれば、リゾートでの休暇や劇場の特等席、 最高級の食事、そして何より彼というすてきな恋人が手に入ったのに……。 だが今、セリアはそんなことよりはるかに重い現実を告げに来たのだった。 「わたしがここに来たのは、妊娠したことをあなたに伝えるためよ」
レアンドロは予期せぬ妊娠に愕然としながらも、生まれてくる子のために愛情抜きの結婚に踏みきります。彼を愛し始めていたセリアは、愛する人から愛してもらえず、ベッドで愛を交わし合うこともできない結婚生活の苦しみにしだいに耐えられなくなっていき……。
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