宗教に「かたち」を見いだし比較しなければ、そこにある共通性、異質性は捉えられない。 タイ、中国、チベット、台湾、香港、韓国、日本において地域で近代化以降に変容展開した伝統宗教・新宗教を、現地調査を踏まえ俯瞰する。
「私は、このような比較宗教文化論的な語り方を入れない限り、世俗化と伝統的共同性―家族・地域社会の解体が進行しつつある現代日本において、宗教者は一般社会の人々はいわずもがな、自教団の信徒に対してもそれぞれの宗教が持つかたちを説明できないのではないかと思っています。二〇二五年、団塊の世代が七五歳以上となり、高齢者の中心世代となります。青年期に合理的発想や革新的政治文化の影響を受けたポストモダンの高齢者は、宗教そのものへの忌避感が強く、昔からこのようなやり方できたということだけではいささかも納得しない世代です。本書が個々の宗教を研究する人たちや、宗教に関わる人たちにとって宗教の「かたち」を意識する素材になれば幸いです。」(「はじめに」より)
[目次] はじめに 第一章 宗教の進化と社会科学 第二章 タイ仏教のかたち 第三章 タイ政治と仏教 第四章 東アジア宗教のかたち 第五章 中国・台湾の宗教変容 第六章 韓国と日本の宗教変容 第七章 ナショナリズムと生きる希望 付 録 アジアの宗教を読む20冊 参考文献 初出一覧 あとがき 索 引
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