「レストランふろ」。
何とも言えない組み合わせ。その不思議な響きに吸い寄せられるように、ぼくはのれんをくぐる。脱衣場にただよういい匂い、なんだかお腹がすいてきたぞ。中は立派な浴場です。ずらりと並んだ鏡の前に腰をおろし、シャワーを浴びると甘い味。これは、まさか。
ドキドキしながら浴槽の方へと向かうのは、読者も同じ。だって、この辺りから明らかに様子がおかしいのです。見えてきたのはショーケース。中には美味しそうなレストランのメニュー。と、思いきや。ごちそうの中には人がいる!
「おーい こっちに おいでよー」
ぼくが最初に入ったのは、ラーメンのおふろ。ふうふう、つるつる、もぐもぐ。めんがのびないうちに、全部食べちゃお。次のおふろはどろどろだ。しっかり浸かった後に向かうのは、じゅーわぱちぱち音がする……!?
絵本『こたつ』『なつやすみ』(福音館書店)の俯瞰(ふかん)で描く独特のスタイルで話題となった作者の麻生知子さんが生み出した、「食べもの×おふろ」のへんてこな世界。いくら「食べ放題と温泉が好き」だからといって、スープやスパゲッティや炒飯の中で裸の人々がリラックスしている様子なんて、誰が思いつくというのでしょう。けれど、この絵本の中では実現してしまっているのです。
真上から、あるいは真横から。遠くから、あるいは近くから。自由な視点で描かれるおいしそうな料理とそれを堪能する人たち。うーん、まいった……こんな場所があったらすぐにでも行きたいぞ。気になってしまった方がいたら、絵本の中でぜひ直接体験してみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「レストランふろ」って なんだろう?
こうたくんの目の前に突如あらわれた、「レストランふろ」と書かれたのれん。思い切ってくぐってみると、なんだかいい匂いが漂ってきます。奥へ進むと、見えてきたのは大きくておいしそうな料理の数々。あれ、よく見ると、中には人の姿が。ラーメンに天ぷら、ほかにもたくさんの食べものを、肩まで浸かりながらいただきます。真上から見たり、真横から見たり、麻生知子さんのユニークな視点から描かれた「食べもの×お風呂」の世界を、じっくりゆっくりご堪能ください。
【編集担当からのおすすめ情報】 麻生知子さんのお好きなものは、食べ放題と温泉。それらが結びついた「レストランふろ」の中には、独特な構図で描かれた料理がたくさん出てきます。眺めているだけでよだれが出てしまう、おいしくてあたたかい世界をおたのしみください。
「レストラン」と「ふろ」
この二つを合わせるとこんな感じになる?!
おふろはきれいになるところなのに
おいしくなってしまうなんて
ちょっと味わってみたいですね。
しゃぶしゃぶのおふろは最高ですね。
麻生さんの絵が素朴でかわいいです。
(ジョージ大好きさん 40代・ママ 男の子15歳)
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