「明日ありと思ふ心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」。出家得度時に9歳の親鸞聖人が“はかない桜の花”に“明日をも知れぬ人の命”を重ねて詠んだとされる、真実信心のお勧めの歌。それは、本当に親鸞聖人が詠んだ歌だったのか? 長い歴史の中にうもれた事実を探る!
《目 次》 推薦の辞( 浄土真宗本願寺派勧学・龍谷大学名誉教授 林 智康)
総説 親鸞聖人出家得度時の詠歌 一 親鸞聖人出家得度時の無常の詠歌はとりかえられた 二 本書の構成
第一章 親鸞聖人と詠歌 はじめに 一 親鸞聖人の出家得度時の無常の詠歌について 二 詠歌の伝承 三 古伝親鸞聖人の詠歌 四 『親鸞聖人伊呂波歌』について 五 聖人の遺跡における詠歌 六 『説法用歌集』などについて 七 『御伝鈔』の伝播と絵解き むすび
第二章 新展開 蓮如上人の詠歌と諸伝 はじめに 一 蓮如上人の詠歌としての存在 二 『釈教玉林和歌集』 三 粟津義圭の『御伝鈔演義』一への見方を変える 四 義圭を遡る無常の詠歌資料『真宗勧化釈要鈔』 五 霜雪をもいただく 六 「古歌謡」 七 蓮如上人の詠歌と粟津義圭の用いた詠歌 八 親鸞聖人が無常の詠歌を詠まれたとする根拠 九 親鸞聖人は無常の詠歌を詠まれなかったとする根拠 十 『しんらん記』の影響か──言い回しに疑念 むすび
第三章 親鸞聖人の伝承──「親鸞聖人御臨末の御書」についての一考察 はじめに 一 伝承の発祥 二 伝承の収集と出版 三 批判の書 四 伝承のまとめ むすび
第四章 特異な傾向を示す詠歌 一 詠歌を伴った最初の親鸞聖人伝 二 越後七不思議と詠歌 三 古浄瑠璃「よこぞねの平太郎」 四 「北越之聖跡図」について 五 親鸞聖人伝の奇瑞談について
後日談 蓮如上人のこころ
初出一覧 あとがき
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