日本科学史学会の協力のもと、二部から構成されており、科学の基本的な学説・概念、およびその地域ごとの展開が丁寧に解説され、高校科目でいうところの数学・理科にあたる部分の発展的な内容が今後科学を志す初学者に向けて提示されている第一部「個別学説史,科学論・ヒストリオグラフィー」、そして科学技術と社会とのかかわり方をめぐる様々なトピックが紹介された第二部「社会の中の科学」からなる。事典の刊行時点で福島原発事故10年の節目を迎え、第9章では原子力問題に対して科学がどのように向き合うべきかが問われている。それだけでなく、原発事故以降10年間での研究不正の問題、AI技術の発展などを経て、本事典制作途上で新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を襲った最中で編まれたため、より最新の科学的知見も十分にフォローされている。
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