現代イギリス演劇を代表する劇作家の一人、キャリル・チャーチルの演劇の多様な側面を提示し、彼女の作品世界が一貫した主題や態度を示し続けているとともに、豊かな多様性を持っている点を明らかにする。時系列に沿ってチャーチルの創作活動を追いながら、各章でその時期の代表作や特に注目に値する作品を考察し、劇作家としてのチャーチルの全体像を示す。
シリーズ〈英語〉文学の現在(いま)へ 第二次世界大戦前後から現代まで、激動の時代に翻弄される世界各地で〈英語〉という表現媒体を共有しつつ、なおそれを問い直してきた作家たちが、文学の「現在(いま)」をどのように切り開いてきたのか――「イギリス」や「英語圏」といった従来の領域的思考を超える〈英語〉文学をあらたに考えるためのシリーズです。
【目次】 序章 第一章 ラジオ・ドラマと精神医学――『恋わずらい』と『シュレーバーの神経症』に見るセクシュアリティの問題 第二章 支配と所有の問題と協同的な作業の発見――『革命時の病院』および『所有者たち』から『バッキンガムシャーに射す光』へ 第三章 『クラウド・ナイン』における性の政治学 第四章 サッチャー時代と『トップ・ガールズ』 第五章 ルーマニア革命と『狂える森』 第六章 『スクライカー』と『はるか遠く』に見るエコロジー表象の困難 第七章 ポストドラマティックな冒険――『ナンバー』以降のチャーチル 文献案内 キャリル・チャーチル作品一覧 引用文献一覧 索引
|