『アンナ・Oの症例』をふくむ初期の大著『ヒステリー研究』と、初期論文 『科学的心理学草稿』を収録した。従来殆ど未研究のヒステリー症に新しい研究分野を拓くとともに、その後のフロイト思想の発展と展開をうかがわせる興味深い一巻である。
「精神分析理論の発展という見地からみると、この『草稿』で試みられている「科学的心理学」は、一九〇〇年発表の『夢判断』(中略)に引きつがれ、やがては「メタサイコロジィ」の体系化へとつらなっていくフロイト心理学、つまり精神分析理論の最初の誕生を意味しているのである。」(本書より)
◎目次 『ヒステリー研究』(懸田克躬訳) T初版の序文 U第二版の序文 Vヒステリー現象の心的機制について W病歴 A,エミー・フォン・N夫人 B,ミス・ルーシー・R C,カタリーナ D,エリザベト・フォン・R嬢 E,アンナ・O嬢 Xヒステリーの心理療法
『科学的心理学草稿』(小此木啓吾訳) T一般的な計画 U精神病理学 V正常なψ過程を記述する試み
訳注 解説『ヒステリー研究』について(懸田 克躬) 解説『科学的心理学草稿』について(小此木 啓吾)
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