「ル・モンド」紙の記者による五輪解説
スキー滑降で前屈みの卵型の姿勢によって、空気抵抗を抑えこんだジャン・ヴュアルネ。走り高跳びで背面からバーを越えることで記録を更新した「ディック・」フォスベリー。審判員たちが「それが規則に適っているかどうか問題にさえした」ほど、どちらも画期的な出来事だった。本書はこうした逸話や、長野大会で正式競技種目となったカリーングなど競技種目の誕生、パラリンピックの歴史、「選手の知られざるエピソード、オリンピックの運営をめぐる諸問題、政治的状況や社会問題の影響、ドーピング問題……といったテーマが、ある意味では馴染みの切り口ではあるが、さまざまな角度からバランスよく構成されていると言えるだろう」(「訳者あとがき」)。10年以上にわたり、雑誌『ふらんす』のスポーツ記事を担当したフランス在住の訳者による、2024年パリ大会に向けた開催地の様子も併せて読みたい。
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