主人公のゆきおくんのお姉ちゃんは学校を卒業して、バス会社に就職し、
車掌さんになる為の研修中。家で2人の弟にお客さんになってもらって
練習をします。そして、今度の日曜日に初めて乗車実習になり、
弟2人はお姉ちゃんに内緒で、お客さんとして乗車することに...
さて、初めてのお姉ちゃんの車掌さんぶりは?! という話です。
この話が初めて世に出たのは1972年だそうで、もう今から40年近くも前
なので、今の子供達には、バスにも車掌さんが乗っていたなんてピンと
こないかもしれません。
でも、作者:長崎源之助さんの子供達に対するやさしいまなざしを
とても感じる童話で、特に兄弟愛(実際は姉弟愛)っていいなぁと
感じさせられる本です。
お姉ちゃんの家での練習中の兄弟とのやりとりが実に滑稽で、
(例えてみると、サザエさんとカツオくん並です)
まさに活きた会話という感じで、5歳の一人っ子の息子もゲラゲラ笑い、
逆に兄弟がいたらこんな風な会話が日常茶飯事だったんだろうな、と
親の私の方が息子に対して少し申し訳なくなりました。
そして、最大の山場の乗車実習もとても面白く描かれていて、
年代を感じるかもしれませんが、これからも幼年絵童話として、
ずっと残っていって欲しい話でした。
「ばか」とか「いんちき」とか、そういう言葉もいっぱい出てきます。
そこがこの話をとても楽しくしているスパイスだと思います。
また、山中冬児さんの絵が実にこの話にベストマッチしています。
絵本としては、ちょっと長めですが、全ページに絵があり、ストーリーが
ちゃんとあるので、年長さんくらいからなら十分に楽しめると思います。
是非、読んでみて下さい。お薦めです。 (汐見台3丁目さん 40代・ママ 男の子5歳)
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