オリーはちっちゃな男の子。でも練習しているのは、大きな大きなラッパです。その、耳をつんざくような音色に、町中が大めいわく。練習できる場所を探し歩いて、ついに海にまでこぎ出したオリーですが、なんと座礁寸前の船を発見し…? 少年の思わぬ大活躍がゆかいなアメリカの古典絵本。
オリーはちっちゃな男の子。バスホルンという、自分よりも大きなラッパが大好きで、一生懸命練習します。でも、その大きな音にお母さんも、近所の人たちも、農場の牛も大迷惑!皆に迷惑にならないようなところで練習しようと、太陽がジリジリと照りつける中、バスホルンを抱えて探し歩くオリー。ついに小さなボートで沖合いに向かったところ、だんだん濃い霧が発生し、オリーはちょうど連絡船が通りかかる時間だということに気付きますが、危険を知らせるブイが今日に限ってありません!そこでオリーは……!
最後には、もちろん連絡船はオリーのおかげで岩にぶつかることなく入港することができ、そのごほうびとしてオリーは思う存分バスホルンの練習ができる音楽学校に入学させてもらえます。そこに至るまでのオリーの頑張りといったら!本当に小さな身体で大きなバスホルンを抱えて歩くところは、子供も思わず「がんばれ!」と応援しています。
私としては、オリーが皆に気を使いながら(動物のアシカやカモメにまで!)練習しようとするところは、もちろん頑張りは認めるのですが何となく“いい子ちゃん”すぎてあんまり好きではなかったのですが、最後に音楽学校に行かせてもらえることになったとき、市長さんに向かって「音楽学校ならこの町から遠いから、思う存分練習できますね」とちょっぴり皮肉を言ったときに、やったぁ!と思いました。そんなに周囲に気ばっかりつかっていたら、どんなにいい子でも疲れてしまうし、本当は周りの言うことなんか聞かずに、思う存分好きなバスホルンを吹きたかったんだよね、うんうん、とうなずいてしまいました。
それにしても、オリーが吹けたのはたった1曲。それも、「ふかい海にねむる」という曲で、歌詞の最後が「きをつけろ」。それを連絡船に向かってヴォンヴォン吹いたんですよ(いまはもっと吹けるようになったかしら?)。
細かなディテールまで凝った、とても楽しい絵本だと思いました。 (ほがみさん 30代・ママ 男の子3歳)
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