雪の魔法によって、地球からわちふぃーるどへやってきた猫ダヤン。神秘的な瞳が印象的なこの猫ダヤンとその仲間たちが繰り広げる物語は、子どもから大人まで魅了してやみません。 本書は、1995年に刊行された『ダヤン画集 タシールエニット博物館』の新装版です。今回は、愛蔵版として限定発売された『ダヤンとわちふぃーるど物語』からもイラストを抜粋し、再収録されています。
嵐の夜、誰もいないはずの博物館の扉を開くダヤン。ページをひらくごとに博物館の展示物である、それぞれの絵が、見る人を不可思議で謎めいた世界へと誘います。 今回の新装版では、不思議の国わちふぃーるど創世の秘密にせまる絵も展示物として加わっていて、過去へと冒険するダヤンの姿を見ることもできます。
さらに、ダヤンたちが暮らすタシルの街にある博物館には、古い時代や遠い場所から集められてきた珍奇なものが並べられていて、その詳細は巻末に収録されている「タシールエニット博物館陳列物一覧」にて確認できます。これがもう、なんともいえない魅力にあふれていて、それぞれの品物の物語で本が一冊生まれてしまいそう。(読みたい!)
例をあげてみましょう。一年間に十秒しか動かない「ケントスさんの懐中時計」、旅好きの持ち主と死に別れ、一度はダヤンに買われたもののそりがあわず、博物館の展示物となった「ドーシカ公のトランク」、驚愕の秘密が判明した「若返りのリンゴ」などなど。品々の来歴を見ているだけでもうっとりですが、どんなものだろうと想像をめぐらすのも楽しい。 ファンタジックで不思議なダヤンの世界にどっぷりとひたれる、ファンは見逃せない一冊です。
(光森優子 編集者・ライター)
不思議なものがたくさん収められている、わちふぃーるど博物館。 1995年に刊行された初の画集に、限定発売された愛蔵版『ダヤンとわちふぃーるど物語』からイラストを抜粋し、再収録された新装版。
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