コックのアッチは、店が休みの日に弁当をもってだれかとピクニックに行くらしい。自分は誘われなかったノラ猫のボンは焼きもちを焼き、勝手に弁当を作ってアッチの弁当とすりかえてしまう。相手はドラキュラ城の令嬢だったが、ひどいキャラ弁を見て侮辱されたと思い、アッチを牢屋に入れてしまうが…
モンスター界の大富豪の令嬢といった感のドララ嬢は、気分屋で姉御肌。美人で能力もあるという設定で、男子にモテるタイプだが残酷。同シリーズの初期のヒロインは明るくて天真爛漫なタイプで、対照的だ。男子に人気のある女子のタイプが時代によって変わってきたのだろうか。
女子に気に入られようとする男子の行動は単純だ。素敵でおいしいものをプレゼントする。動物もよくやる求愛行動。この話の中で一番面白いのはボン。ヤツは家庭を持っても友達と一緒に遊びたがり、自分が無視されると嫉妬して手の込んだイタズラまでして妨害する。寂しがり屋の自己アピールだが、作った弁当がドカベンで昭和な感じで、肉体労働や運動部の男子が喜ぶおかずがほほえましい。生き様が感じられる。
お嬢様に献上する弁当は、これまた手の込んだ洋風の、ロールサンドやパンケーキが中心。外国出身だから。
アッチはどんどんコックとしての腕前をあげていて、成長している。
しかし、毎回思うが、この話の展開は奇想天外で、絶対にやらないだろうことや、やったら怒られるようなことをどんどんやるから面白い。今回も、全員、全力で思いを遂げていてスッキリした。
寂しがり屋は気持ちを察してあげないと、暴走するから危険だ。そこがこの本から得た教訓。気をつけよう。