私の印象では、これはホラー作品です。恋愛する人が、純愛から狂気に至るまでの道のりが、事細かに描かれていて素晴らしい。
特に、盲目的な愛、一方的な狂気、ストーカーになっていく過程、まったく周囲には理解ができない行動などが、絵で一発でわかります。
恋愛は、幸せ100%とは言えない。一時期、酔ったような夢を見て、その後どんどん泥沼にはまり、修羅場を通り、最終地点に到達する。ここでの「好き」は、絵の印象などから、私は「性愛」「未熟な所有欲・支配欲」という意味合いが強いと感じました。「慈愛」「博愛」などとは別次元の、登場人物が極めて少ない(場合によっては一人で演じていることもある)「恋愛」。まわりが見えなくなる状況がよく描かれていました。
子どもの恋愛、若い人の恋愛は、それでいい。ありのまま全力で恋愛をして欲しいと思いますが、恋愛には闇の部分がいつも寄り添っていることを、この絵本が暗示していると思います。
愛が一方的になりすぎて、狂気にならないよう、ご用心ください。