ポール・フライシュマンと言えば、評価の高い「ウエズレーの国」がつとに有名です。
この絵本も、素晴らしいの一言に尽きます。
文句なしにオススメ、それも世のパパに読んで欲しい作品です。
物語の時代背景は、アメリカ開拓時代。
登場するのは、農夫とその3人の男の子供達。
奥さんがいないと言う設定なのですが、これがこの絵本の肝なのです。
そして何よりも注目したいのは、着ている服。
とても農夫一家とは思えないのですが、時代を反映しているということなのでしょう。
子供達は、農夫の仕事を手伝うのですが、みんな働き者で歌いながら仕事します。
「長男が御者の歌を歌いだすと
他のふたりも一緒に歌いました。
次男は海の歌が好きで
末っ子のお気に入りは、
旅のバイオリン弾きの歌でした」
とあり、これが、ストーリーの大きな伏線になっています。
その後、長く続く干ばつがあり、農夫一家は、農場を含めた全てを失ってしまいます。
開拓時代の厳しさを伝えてくるシーンです。
農夫一家は止む無く刃物を研ぐという仕事で食いつなぐことになるのです。
それから、三人の兄弟は独立していくのですが、その時の農夫の言葉が秀逸です。
「本当は、お前達1人1人に、何か残してやりたいと思っていたが、今では、分けてやる土地もない。
そこでだ、大事なことを言っておくよ。
大きくなったら、よくよく考えて、仕事を選ぶんだ。
いいかい、お前達は、自分で生きていかねばならないのだからね」
私の上の子は、高校生ですが、大学を選択するにあたり、将来をどうしたいのかを語る時期にきています。
漠然とではなく、こんな風に将来像を語れることは、パパには必要です。
後半は、生垣が大きなポイント。
農夫は、「生垣は、きっとお前に答えを出してくれる」と言うのですが、なりたいものが、生垣で刈り込むことで分かるというのです。
これって、深層心理そのもの。
なるほど、良い例えのストーリー展開ではないでしょうか?
オチも納得できる出来栄え。
文章が長いので、読み聞かせには一寸向かないかも知れません。
小学校高学年位から読める内容だとは思いますが、やはり、この絵本は大人に読んで欲しい作品です。
それも、子供が将来を見据えないとならない時期に差し掛かる大人、それもパパにオススメします。