「ペンギンのこまりごと」 みんなの声

同じ作者さんコンビの姉妹本『きりんのなやみごと』が面白かったので、こちらも読むのが楽しみでした。
くちばしはつめたいし、周りはキーキーうるさいし、と終始愚痴っているペンギンですが、せいうちが言うには……。というお話です。
レイン・スミスさんのおしゃれでユーモラスなイラストは、いつも引き込まれます。表紙は画面いっぱいのペンギンで、裏にタイトルがあるという変わった作りも、センス良いなと思いました。

わわ、何これ？
ペンギン、ペンギン、ペンギン！
しかも、「こまりごと」とは！？
『PENGUIN PROBLEMS』が原題。
とあるペンギンの愚痴の語りで進みます。
確かに確かに、寒いし、お腹すくし、怖い思いするし。
そこへセイウチがやって来て、説教。
一気に、視点を変えていいことを見つけるよう勧めます。
この人生訓、年配の語りだけにやや難しいですが、一理ありますね。
でも、ちゃんと主人公には伝わったようで。
もちろん、ラストの気持ちも共感してしまいます。
小学生くらいから案外大人まで響くところがありそうです。

マイナス思考のペンギンのお話です。
マイナス思考で身の回りを見渡すと、本当に嫌なことがいっぱいです。
傍から見ていると、そんなことないよと思えることも、本人はこじつけのように嫌なことに加えていきます。
こんな息苦しい世界を、自分で作ってしまう、典型的なマイナス思考のペンギンでした。
でも、セイウチがすべてをひっくり返すアドバイスをくれました。
プラス思考思考で考えると、黒く見えていたものが、白く置き換わっていく、オセロゲームの世界です。
ご自身も試しに、マイナス思考と、プラス思考で物事を見る練習をしてみて下さい。
生きていく中で辛さを感じた時、きっと助けてくれます。
児童書ですが、立派にセラピー絵本です。

ペンギンの絵本は、つい手にとるくらい好きですが、もうこの表紙だけで魅了されました。レイン・スミスさんの絵って本当に素敵！　お話もおもしろく、セイウチの言葉にはそうそうと納得。でも、「くちばしがつめたい」なんて、ペンギンのこまったことは、なんだかほのぼのします。