スヴェン・ノルドクヴィストは、スウェーデンの絵本作家。
まだ、邦訳は少ないようです。
あとがきに、こうあります。
「ぼくが、はじめてこの絵本のアイデアを得たのは、25年前になります。
それは、長い、連続した絵として描いた、夢のような景色をたどる旅になるものでした。
最初、文章はありませんでした。
絵が重要だったのです。」
この絵本は、絵が先にあって、あとから文章を添えたもの。
ですから、文章がなくても理解できる作品になっています。
物語は、ネズミのおとうととおじいちゃんが、おねえちゃんを捜しに行くというシンプルなもの。
おねえちゃんの目印は、黄色い毛と赤いパンツ。
それから、二人は気球に乗り込み探索を始めるのですが、その見開き一杯に展開する絵が実に見事。
綺麗とかではなく、その摩訶不思議な世界に惹き込まれてしまうのです。
こればっかりは見ないと分からないのですが、「不思議の国のアリス」とか「チョコレート工場の秘密」を彷彿させるようなテイストです。
そこに展開する世界は、子供の頃に憧れた世界。
何度も繰り返し魅入ってしまうこと間違いありません。
しかも、その見開きの絵の何処かに、おねえちゃんの姿があるのです。
大きさにして数ミリの絵なので、もしかすると、子供でないと見つけられないかも知れません。
不思議な空想の生物・植物のオンパレードで、大きさの概念を無視したり、目の錯覚を利用した絵なんかもあって、絵そのものを堪能できる作品です。
子供だけでなく、大人も、スヴェン・ノルドクヴィストの描く絵を楽しんで欲しいと思います。