長谷川先生と日本の昔話調のお話の組み合わせという事に興味を持ち読みました。
山形県の神室連峰を舞台としています。
じいさまとばあさまが、春の日にわらびを摘んでいたら、枝の折れる音がしてなにやら地面に落ちたようです。
あたりを探してみると誰もおらず、やつでの葉っぱが一枚落ちているだけでした。
その日から。山のお天気がわるくなり、作物の実りも期待できない事を老夫婦で話していると、天狗と名乗る男が、戸のむこうに・・・。
天狗を恐ろしがるじいさまと、天狗の「食ったりしねえ。」という言葉を信じ、家へ招き入れ怪我の介抱をしてやる肝の座ったばあさまが対照的で愉快です。
天狗の怪我が治り、神室の山へ戻って行くページの絵が素敵です。
迫力満点!なるほど神室の山をおさめている有り難い存在と言う感じがします。
天狗がお礼に置いていった三つぶの蕎麦の実の不思議なこと。
竹串に刺され囲炉裏で炙られているそばまんじゅうが、香ばしい香が伝わってきそうで、一串いただきたくなりました。
ラストの峰桜・かたくりやしらねあおいの花々の咲きほこる春の神室の山がうっとりするほど、綺麗でした。