「はんぶんのはんぶん、ばいのばいのおはなし」とある通り
分数と倍数が出てきますが
分数・倍数を習った上の子は「勉強の本?」と敬遠してしまい、
純粋に絵本を楽しんだ年長の下の子の方が気に入ってしまいました。
ライオンがとにかく格好良いのです。
表紙の絵から、まさに王者の貫録。
特に心の奥まで見透かしているかのような瞳にドキッとします。
王さまライオンの食事会に招かれた
コガネムシ・カエル・インコ・イボイノシシ・カメ・ゴリラ・カバ・ゾウ。
それぞれの動物(鳥・虫)達の特徴をしっかり捉えた絵ながら、
その表情は実に人間的。
見栄っ張りで、腹黒いような内面が現れているのが見事です。
そんな自分のことしか考えない他の動物達に対して
王さまの気持ちを考える、謙虚なアリの振舞いは気持ちのいいもの。
そして他の動物を非難するでもなく、
アリの想いをちゃんと受け止めてくれるライオンの
王さまらしい振舞いは、やっぱり格好良い!
時折でてくる、ちょっとしたダジャレも楽しく、
結局自滅していく動物達をよそに
王さまライオンとアリが迎えるハッピーエンドに
大満足のストーリーでした。
算数に関する部分は
王さまの大きなケーキの分割するときに分数、
お返しのケーキを焼く個数を張り合うときに倍数の話がでてきますが、
ケーキの絵がとても分かりやすく、
年長の息子でもイメージが出来たようです。
算数が分かる小学校中・高学年にも面白いと思いますが
「はんぶん」と「ばい」が分かってくる年長さん位からお試しあれ。
王さまライオンが魅力的な
相手を思いやる気持ちを描いた絵本、おすすめです。