子供の怖いもの見たさ、残酷なもの見たさを否定するわけではない。
自分もかつてそうであったし。
しかし、本になって白日の下でおおっぴらに売られているのが自分には納得できない。
私がこの手のモノを見たのは小学校の遠足で行った薄暗いお寺だった。
衝撃的で強く心に残った。
本に書かれてある文章は対象年齢の小さい子供に配慮してだろう、主人公は人間として生まれ変われるというほっとさせる展開になっている。
が、もともとそういうストーリーがあったわけでもない。
なぜ主人公は許されたのか。その部分が弱い。
ただ、絵に関する説明は私も知らないところがあったので大いに参考にはなった。
親より先に死んだ子供が賽の河原で石を積む場面の説明など涙が出そうになった。
「悪いことをしたら地獄に落ちる」「嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれる」今の子供たちには縁遠い言葉である。
この絵本でそういう戒めの言葉に効果を持たせようとする大人の思惑は果たして良いのか。(なまはげのように。)
厳しいことばかり書いたが古くから伝わっているものに後世の私たちが勝手に作った話を付け加えるのはいかがなものかと気になった。
これが、読み聞かせる人が話を作って子供に聞かせるのならば良いとは思うが。
これに興味を持つ子供さんには是非芥川龍之介の「蜘蛛の糸」や「杜氏春」を読んでもらいたい。