ある日突然、お父さんを亡くした 農家の女の子の日々を描いた絵本です。
「ちわこのよそったごはんが、いちばんうまい」
いつもそんなふうに言っていた 優しいお父さんの事を想いながら、
“お父さんがつくったお米の赤ちゃん”を育て、
丁寧にごはんをよそう ちわこちゃん。
毎月決まった日に僧侶を招き、ごはんをふるまう「つきごはん」。
これは作者さんの造語との事ですが、まるで本当に存在する風習のように感じます。
それはこの、大胆でありながら優しい絵と、
読者に語りかけるような温かみのある文章のおかげかもしれません。
ちわこちゃんが、お父さんを想って四葉のクローバーを探す場面などは本当に切ないのですが、
最後のページを読んで 私も穏やかな気持ちになれました。
いのちはつながってゆく。
大好きなお父さんは居なくなってしまったけれども、
お母さんのお腹から、また新しいいのちが生まれてくる。
身近なひとの死は きっとどうしようもなく辛いことだと思いますが、
幼い頃から理解することも大切かもしれないと思いました。