柏葉幸子さんの作品は子どもの頃からずっと読んでいます。
大好きな作家さんおひとりですが、40周年とは、びっくりです。
児童文学というジャンルでありながら、心躍るあたたかいそよ風のようなイメージのファンタジーものが多いので、大人になってから読んでも違和感なく楽しめます。
今回は小学校4,5年生くらいの少女:ひより(本名萌花)と、DV(ドメスティックバイオレンス)な夫から逃げたしてきたという30代前半くらいの女性ユイ(本名:ゆりえ)と、不思議ないきもの(?)たちと交友関係を持つ山名キワというおばあちゃんの3人が主人公で、それぞれの年代の人がそれぞれの年代の目線で読み易くなっているなぁと、感じまた。
柏葉さんの作品はファンタジーでありながらも、そこに生きている人たちの土壌がしっかり描かれているので、現実を生きている人たちと同じようなリアルさがあって、物語の世界の人たちと気持ちがシンクロしやすいのが特徴ではないかなと、私は思っています。
特に今回はあの東北大震災のあった、岩手県の小さな海辺の町が舞台になっています。
本の見返しの部分にこの町の地図が載ってました。
「子狐岬」という場所自体は架空のようですが、近隣の様子やこのページに描かれている地図と見比べて、
大船渡市三陸町吉浜辺りが部隊のモデルではないかとにらんでいます。
本文中にこの子狐岬に伝わるといわれる昔話がいくつが出てきます。
そして、キワおばあちゃんのふしぎな知り合いというのはカッパだったりお地蔵さんだったり、座敷童といった面々でした。(山を越えると『遠野』というのがポイントですね〜)
特に盛岡の本町通りにいる有名な「田中のお地蔵さま」という方が面白いキャラクターでした。
このお地蔵さまもどこかにモデルがいるかと思って、いろいろ検索してみましたがわかりませんでした。
(しいて言うなら「石造十六羅漢(せきぞうじゅうろくらかん)」が私の中のイメージ近いお地蔵さまでした)
大震災による高波の大惨事にも負けずたくましく生きていく小さな町の人々の生きざまも感じることのできる素敵な作品です。
小学校高学年くらいから大人の方まで、お勧めです!!