新潟の水俣病、熊本の水俣病、阪神大震災、新潟の中越地震こんな自然災害と人間が起こした公害。こんな難しいテーマが根っこにある。
物語は震災を経験して新潟に引っ越してきたたかしくんを中心にすすむ。遊んでいるときに見つけた大小2体のお地蔵さん。その前で唄っているおじいさんとおじさんに出会う。
神戸から引っ越してきた事、震災でばあちゃんが死んだ事、など話した。君も大変な思いしたねと、おじいさんも辛い思いをしたことを話してくれた。それが新潟の水俣病。
社会の教科書でしか耳にしないような言葉。それがテーマで重たい話なのかと思ったけど、震災や熊本の話も混ざり子供のたかしくんに分かるように説明してある事で子供の児童書としても成り立っているのだと思う。悲しい現実だけれど読み進めるとどんどん心が暖かくなってくる。お地蔵さんが何故2体並んでいるのか、大きさが違うのか、お地蔵さんに手を合わせる意味などよくわかる。
あとがきにもあるようにいろんな事を風化させないようにまた事実を知ってもらうための入り口としてこの本を手に取ってもらえたら・・・という作者の思いに共感できる。