「ねずみのまちの一ねんせい」 ママの声

大好きな佐藤さとるさんと村上さんのコンビ作品。
佐藤さんが描く、ちょっとだけ不思議な世界へ誘われる文章は、淡々と静かなのに、やはりわくわくします。

主人公がねずみを追いかけていく様子の挿絵の移り変わり方に気づいて、やっぱりいいなぁと思いました。

僕が小学校1年生の夏、林でかぶと虫を見つけた子とのある林。ある秋の日曜日に林に遊びに行ったぼくは、後足で立っているねずみを見つけます。ねずみを追いかけていくと、ぼくの体はどんどん小さくなります。服がぶかぶかになっていく様が面白いです。

いつも行っている林なのに、不思議なことが起こります。けものしか通れない道をけもの道と言いますが、ねずみにしか通れないねずみの道が出てきます。以前、野遊びでかやねずみがいるという林を探検したことがあります。その時にこのお話を思い出しました。

ねずみの道を人間がたどっていくとどうなるのか、そう考えただけでとてもわくわくした気持ちになりました。この本を読むと、ファンタジーの入り口というのは、自分の身近な風景の中に、目をこらせばあるのかもしれないという気持ちになります。