もう何十年も前に出された作品なのですが、私はつい最近はじめて読みました。
読んだ後、このお話に似たような作品を何冊も読んだ事があるなぁ・・と感じたので、『食べようとしてたのに、いい人と思われてその気になって・・・』というストーリーには、特別に感想を抱かなかったのですが・・・。きつねのラストには衝撃を受けました。
近年発売された作品では、この様なラストはあまり見られませんよね。
命の尊さをテーマにする作品も多いですが、直接的に登場人物が犠牲になって死ぬシーンは少ないような気がします。
子どもたちへの配慮なのでしょうか??
きっとキツネが知恵を絞ったり、ひよこたちが力を合わせてオオカミを撃退する、というラストになってしまいそうです。
『はずかしそうにわらった』きつねの顔の意味がなにより大事な箇所だと思うのですけど・・・。
この作品、絵本紹介誌のレビューをみて興味を持ち、何気なく借りてきたのですが、非常にいろいろ考えさせられます。
きつねが優しいおにいちゃんを演じるきっかけになったのは、ひよこの偏見のない無垢さです。「人を見かけで判断しなければ、もっといろんな人と仲良くなれる」と言う事でしょうか。
きつねも、身を犠牲にしてまでも守りたい存在ができた事で、自分の欲だけを考えて生きていた時よりずっと満足な最期を迎えられたのでしょう。
でも、オオカミの様に、どうしても分かり合えない存在もあります。
偏見なく無邪気に近寄ったばかりに、傷つけられる事もある・・。
あまりに考えが、ぐるぐると渦巻き、この絵本から何を読み取って、子供達に伝えればいいのか・・・。うまくまとまりません。
あれこれ、注釈を付けるより、子供が感じたままにさせてみようと思います。