年老いた陶芸職人が作った陶器のネズミ。これは、陶芸職人が今まで作った中で、最高の作品になるはずでした。だって、『いままでのじぶんというもののすべてを、あまさずもりこんで』、このネズミを作ったのですから。
ところが。翌朝焼きあがった陶器のネズミは、今までに見たことも無いような出来そこないのネズミでした。
しかし・・・そのネズミの顔つきは、いままでの作品にはない魅力が漂っているのでした。
陶器職人に「トンデモネズミ」と命名されたその日の真夜中に
トンデモネズミはどういうわけか生身のネズミに変身し、
こっそり家を飛び出します。
そこからトンデモネズミの大冒険が始まるのです。
大活躍するトンデモネズミの様子に、読み手の私はドキドキハラハラ。
そしてあっというまにトンデモネズミ君のファンになってしまいました。
だって、本当にあいくるしくて、優しくて、無邪気で、だけどとっても勇気があるネズミ君なんですもの!
トンデモネズミは、様々な出会いや経験を通して
自分が今まで「何」から逃げていたのかに気付き、
そしてこれから立ち向かうべき相手を悟ります。
さぁ。トンデモネズミの最終目的地となった場所は?
そして、立ち向かうべき相手とは?
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この本の原題は「マンクスネズミ」だったそうです。
(イギリスのマン島には「マンクス・キャット」という、しっぽのない種の猫が実在するそうです。)
「マンクスネズミ」という原題を「トンデモネズミ大活躍」と訳した矢川澄子さん、すごいですね!
「マンクスネズミ」という題名だったら、私はきっとこの本を手に取る機会を逃がしていたことでしょう。
読んであげるのなら、小学校2〜3年生くらいから十分楽しめるのでは?
高学年以上だと、この物語から哲学的なニュアンスも感じとれるかも。