「海女の珠とり」 ママの声

「お能絵本シリーズ」の１冊です。この絵本で初めて知りましたが、お話は面白かったです。
伝えられていたの（原作）は興福寺の語り物らしいです。
主人公藤原房前の父は、あの藤原不比等でした。
不比等と海女の女性との恋の物語でもあり、この時代の身分違いの恋の難しさも知ることができました。
絵を担当された岡村桂三郎さん描き方も物語の世界をひろげてくれ。堪能できました。
好きな人の名目に、文字通り自分の身を犠牲にする女性の強さと献身的な愛に感動しました。
作品は素晴らしいですが、遠目はきかないので、読み聞かせには使いにくそうです。
テーマに合わせたブックトークなどで紹介できるといいなぁと思います。

題材が「能」ということで身構えてしまいましたが、
夫や我が子への深い愛情に満ちた物語で素晴らしかったです。
藤原房前という若者は亡くなった両親のことを知るため旅に出ます。
そして知った母親の最期。
海女だった母親は夫の探し物のために海に潜り、
命がけで探し物の珠を届けたのです。
それを教えてくれたのはなんと幽霊、死んだ母親本人。
房前の深い祈りがどこまでも響きます。

　＜お能の絵本シリーズ＞　第１巻　海士（あま）
　私はそもそも幽霊というものは大嫌いなのですけれども、このお話は感動してしまいました。
　ここまで感動した１つの理由は絵です。
　抽象的で暗い絵が続くのですが、｢血｣の赤がとても印象的でした。
　その赤が悲しみをもっと深いものにしました。
　母と子のお話です。