谷川俊太郎さんということで手に取ったのですが、子どもたちによいことが書いてある半面、いくつか現状とそぐわないところがあるように思いました。
出版された当時の状況はどうだったのかわからないのですが、今の子どもたちを取り巻く環境を思うと人前で読むには十分な配慮を必要としそうです。
「ともだちなら びょうきのときは おみまい にいこう」は新型インフルエンザの流行などもあり、病気の時にお見舞いに行くようなことは子ども自身も危険にさらさられることでもあること。
「おとうさんや おかあさんや せんせいに いいつけるのは ずるいんじゃないかな」
は、たとえば相手が大切なものを取り上げる子でその子の方が自分より
高学年で腕力が強い場合、同じ学年であってもその子が乱暴な子であったりすれば、力の弱い子は耐え続けること、もしくは誰かが気づいて待たなくてはいけないことになってしまいそうです。
ともだちとはただ一緒にいる子、クラスにいるというだけでなくて、心の中のつながりというのか、一緒にいると気持ちが温かくなるような存在であってほしいと思うのです。
詩なので短く端的に心に響きやすい半面、子どもの年齢や感じ方によって、今の子どもたちには負担になることもありそうではないかと思いました。
友だちの概念を自分の子どもに伝えることはできますし、本を読んだ後に話し合ったりすることもできるのですが、集団での読み聞かせの場合は、子どもたち一人一人がその後どう感じているかが見えにくいだけに、私には扱いにくい本のように思いました。