この絵本の発想はものすごいです。
そして、この作品を作られた谷川俊太郎さんは、やっぱりすごい方ですね。こういう難しいテーマを、ちゃんと形にしてしまうんですから!
『アムネスティ・インターナショナル』という団体が、この作品の発起人です。
谷川さんはこの団体に依頼を受け、賛同されてこの作品を手掛けられたそうです。
とてもインパクトのある表紙絵とタイトル、内容的には小学校高学年以上のお子さんたちなら、何とか理解できるものであると思います。
こういう『絵本』という媒体で、子どもたちにこの団体の活動、「罪もないのに囚われている人たちに国境を越えて手紙を出そう」という趣旨がきちんと伝わったかどうか、少々疑問が残ります。
「罪もないのにその国の牢屋(政府)につかまっている」ということは、他人や他国から見ればまったく『悪いこと』ではないけれど、その国や地方、政治にとっては『悪』になるからつかまっているわけで…。
ということは、「悪いことだとは思えないことで捕まっている」という設定そのものが、まだ年若いお子さんたちには、難しい気がしました。
ただ、見知らぬ国の無実の人に手紙を書くことで、何か少しでも小さな幸福をもたらすなら、それはそれで素敵だと思いました。