最近先生の不祥事が多い。中でも先生の間での「いじめ」事件などただあ然とするばかりだ。
もちろん、そんな先生ばかりではないことは承知している。仕事でみた場合先生という職業が大変だということもわかる。
しかし、そういった大変さ以上に子どもたちの成長とともにある喜びは何事にも代えがたいのではないだろうか。
絵本作家の長谷川義史さんは「子どもの頃から絵ばかり描いていた」という。
そんな長谷川少年を勇気づけたのは「5、6年生のときの担任の先生との出会い」だと、あるインタビューで答えている。
「図画工作を通して、「考えて物事に取り組む」ってことを教えてくれた方」で、「写実的にきれいに描きなさいっていうようなやり方じゃなくて、見て感じたものを紙に表現しなさい」と教えられたという。
そんな先生を描いたのが、この絵本だ。
長谷川少年の恩師がこの絵本の「おおにしせんせい」のようにいかつい顔だったのかわからないが、長谷川少年が小学生だった昭和40年代にはこんな村田英雄(て書いても知らない人が多いだろうが)風の男の先生がいたもんだ。
ある時自由に絵を描けといわれて、さぼるつもりで学校の廊下を描いた長谷川少年。
廊下の感触、廊下の音、廊下の匂い。
長谷川少年は普段見ていた廊下とまるで違う世界を発見する。
それは、自分が感じる学校の廊下。
左右両面に描かれた廊下の絵のすごいこと。
こんな先生に出会えて、長谷川少年はそれから何年かして長谷川義史になる。