宮沢賢治の童話は様々な作家が絵本にしています。
それぞれに絵本作家の思いがあるのですが、絵が童話の印象を変えてしまうところも感じます。
絵本『セロひきのゴーシュ』を読むのは3作目ですが、なんだか一番しっくりと感じました。
絵が控えめで物語が表に出ていることもありますが、ゴーシュといい登場する動物といい素朴に描かれていて、宮沢賢治の童話の中でどちらかというとゆったりとしたお話には茂田井さんの絵がマッチしているからだと思います。
楽団の中で上手に引けていないセロひきのゴーシュ。
一人で一生懸命練習するところに様々な動物が訪れ、アドバイスしたり励ましたり。
始めはカチンときたゴーシュもなるほどと思い始めて、セロの演奏も知らず向上していきます。
観客も音楽仲間も感心させる、ひとりで弾いたコンサートのアンコール曲。
ステージの上から見える聴衆の表情がなんだか、この絵本のまとめのようです。