男の子にとって母親とはどんな存在だろう。
初めての異性? それはそうだけど。
恋人? まさか。
結婚相手? とんでもない。
酒井駒子さんが2000年に描いた、この絵本の主人公の「ぼく」は、どうもおかあさんと結婚したいと思っているくらい甘えん坊なんだ。
ふん、おかしいやい。そんなやつ、もう遊んでやんないぞ。
どこかでそんなふうにおこっている男の子がいそうだ。
そうかな。かわいいじゃない。
おかあさんなんか大キライだって言ってお家をとびだしても、やっぱりおかあさんの胸のなかに飛び込んでくるなんて、これくらいの子どもにしかできないわ。
どこかでそんなふうに微笑んでいる母親がいそうだ。
きっとこの本の目線が、母親のそれなんだろう。
だから、この絵本を読んだ君なら、少しはわかるかもしれない。
おかあさんはいつもえらそうにしているし、おこりんぼうだけど、本当はすこしばかりさびしんぼうだってことが。