「アマテラス」という女神がいて、天(あま)の岩戸に隠れてしまわれたおかげで、世界から光が消えてしまった。
そのことを嘆いたまわりの神々が思案した結果、天の岩戸の前でみんなが楽しく騒げばもしかしたら女神は顔を出すかもしれない。
それがズバリ的中。岩の外で何やら楽しそうにしているが、何だろうと女神が顔をのぞかせた瞬間をとらえて、岩戸が開けられ、めでたしめでたし。
そんな神話を誰に教わったのか記憶にない。
まして『古事記』を読んだわけでもない。
でも、何故か岩戸の前で踊ったアメノウズメが現代でいうストリップを演じたということも知っている。
確か手塚治虫さんの『火の鳥』の「黎明編」でも描かれていたから、そのあたりか。
いや、それより前には知っていたような。
しかし、前述した物語は大雑把すぎる。
もっと詳しく、でも『古事記』を読むまでもなく、やさしく「アマテラス」のことを知りたいと考えている人には、飯野和好さんが描いたこの絵本をオススメする。
何故「アマテラス」が天の岩戸に隠れなければならなかったとか、岩戸の前で騒ぐことを提案したのは誰だとか、「アマテラス」が 岩戸から外をのぞいたあとどういうことがあって外に連れだされたとか、絵本ながら、とてもわかりやすくまとまっている。
しかも、飯野さんのあのごつんとした絵だから、神話の世界にどっぷり浸れる。
絵本だから子供ではなく、大人が読んでも楽しめる貴重な一冊だ。