『ヌンヌ』は実はシリーズになっていて、1960年代に3冊がフィンランドで刊行されました。そして2007年に3冊が合本されてフィンランドで復刊されました。この『ヌンヌ』は「ヌンヌ」シリーズの1冊目にあたります。
もしレトロモダンという言葉が、昔ながらの良いものが今の時代で再発見されて見直されたり、新鮮に感じられることを意味するならば、まさに『ヌンヌ』はそれにあたります。
初めてこの絵本を手に取った人は、表紙のヌンヌの姿に惹きつけられるでしょう。青の色紙の切り絵とペン細画で描かれたヌンヌの姿を見ると、今人気があるキャラクターたちに負けない個性があるからです。
読者は誰もこの『ヌンヌ』が1960年代に作られたものとは思わないでしょう。やはり1960年代にハンガリーで刊行されたマレーク・ベロニカの『ラチとらいおん』をがキャラクター化しているのを思いうかべます。
絵本に登場するものは、白地に、紫、黄、青そして黒の紙がコラージュして、ペン細画で補われ、描かれています。色遣いや構図に作者のセンスが感じられます。しかし、私には『ヌンヌ』の話の内容が、どういうわけだかよくわかりません。フィンランドの人たちには人気があるのに、自分にはわからないのは、とても悔しいのですが、どうしても突飛な展開についていけません。「夢」のお話だからかもしれません。
でも一つだけ確かにわかったことがあります。それは「夢を見るときはめがねをかけて寝なければならない」ということです。私も今日から試してみたいと思います。