絵が、ロベルト・インノチェンティの作だったので読んでみました。
絵の凄さは相変わらず。
また、作品自体も非常に面白い趣向のものでした。
物語は、主人公である作者が、想像力を無くして迷い人として、辿り着いたのがこの不思議なラストリゾート。
ここで出会ったのは、恐らく、作者自身が大きく影響を受けたであろう人物達。
最初は、その登場人物が全く分からなかったのですが、巻末のあとがきを読んで何となく分かった感じです。
「釣り好きの男の子」はハックルベリー・フィン
「片脚の船乗り」は「宝島」のロング・ジョン・シルバー
「白いドレスの女性」は人魚姫
あたりは、直ぐにピンときたのですが、他の多くの人物にはなかなか理解が及びませんでした。
もっと、その背景にある物語を知っていれば、物語に付随した絵の楽しさも堪能できて、見応えがあると思うのですが、その点が非常に残念です。
さらにあとがきに、
登場する絵描きは
「わたしこと、ロベルト・インノチェンティです。
この本は、どこかへ行ってしまった想像力をみつけるまでの、わたしのお話です」
とありました。
やっとこの文章を読んで、なるほどと納得出来ました。
海外の文学を多読していて馴染んでいる人なら、この作品には入り込みやすく楽しめると思いますが、知らないと理解が覚束ない作品かも知れません。
ただ、こんな物語を想像するだけで、ウキウキしてしまうのは私だけではないはずだと思います。